リバネスユニバーシティーNEWSリバネスユニバーシティープロフェッサー紹介④「分子ロボットクリエイター」で社会課題と基礎科学を繋ぐ方法を考える

リバネスユニバーシティープロフェッサー紹介④「分子ロボットクリエイター」で社会課題と基礎科学を繋ぐ方法を考える

2021.11.30

 

「分子ロボットクリエイター」で社会課題と基礎科学を繋ぐ方法を考える

角五彰氏

北海道大学 大学院理学研究院 化学部門 准教授

 

「非動物的なものが動く仕組みを知りたい」という思いを持ち、化学的なエネルギーを運動エネルギーへと変換する生体分子モーターに着目し、その仕組みの解明や動作制御に取り組んできた角五彰氏。近年は分子モーターのデザインにより、シミュレーションではできなかった群れの研究や、医療現場で活躍するナノマシンの開発、人工筋肉の開発等、多様なテーマを生み出してきた。異分野の人材を「社会課題の解決に挑む分子ロボットクリエーター」に巻き込み、社会課題と科学技術をつなぐ方法を考えてみよう。それがリバネスユニバーシティーでの角五先生の挑戦だ。

 

0→1ではなく、1+1=3で新しいものを生み出すという視点に感動

「課題解決には必ずしも先端技術が必要なわけではない。既存の技術の組み合わせによっても課題解決はできる」という話を聞き、0→1ではなく、1+1=3のような考え方に驚いたのが、リバネスとの出会いです。企業で働いた経験はなく、長らく大学の理学部でモノの理を追求してきた私でも、何か社会の課題解決に関われるのではないかと考えるきっかけになりました。理学とビジネスは対局の世界のように感じますが、常に対局の世界との接点を探すことで、どんどん深化し専門化していく研究界の波及効果に繋がるのではと考えています。この気付きが後押しとなって、社会課題の解決に挑む大学発のアントレプレナーを支援するリバネスのプロジェクト「テックプランター」に参加したのです。リバネスユニバーシティーのお話をいただいた時、熱意のある人達が全国から集っている場であり、リバネスが作った場であるということ、その2点で参加を決めました。

 

動くものへの純粋な興味から、分子ロボットクリエイターへ

私は非動物的なものが「動く」仕組みに心惹かれ、研究を続けてきました。とにかく見ているだけでも面白かったのですが、最近はそれを制御してロボットのようにしてみたいと思うようになり、研究を進めています。ロボットには周りの環境をキャッチするセンサー、動きを生み出すモーター、そして制御が必要です。世にある大きなロボットと同様に、分子サイズの「ロボット」を自由に設計し、実装できるようになってきました。何をセンシングして、どんな動きを生み出したいのかが決まれば、システムを組むことが可能です。例えば「分子サイズの群れるロボット」が作れる職人がいるとしたら、何を依頼したいでしょうか。分子の世界の「町工場」のように「こんなコトをしたいから、こんなものをつくれませんか?」と相談が来るようになったら面白いと思っています。例えば教育や人材育成の課題から、新しい教材を分子ロボットで作ることも可能です。

 

研究室の外に出て、広い社会の中で視野を広げる挑戦をしたい

自分の興味を突き詰めていくだけでなく、誰かの「なんとかしたい」という思いや興味のベクトルを浴びて呼応してみる。そういったテーマの生まれ方はとても面白いと思います。そのためには自分も自身の興味を発信し、アンテナを張ってコミュニケーションすることが必要だと考えています。リバネスユニバーシティーでは、0→1の研究ではなく、既存の技術を発掘して組み合わせ、やりたいことを実現するための知識を製造するラボづくりに関わってみたいと思っています。その1つとして私が開発した分子ロボットがあればいいと考えています。こんな課題を分子ロボットで解決できないか?という小さな挑戦から、社会課題と基礎科学を繋ぐ接点を作っていきます。

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