リバネスユニバーシティーコンテンツ感性と素材カレッジ理事長対談:多様なカレッジをつなぎ、 熱を持った個が縦横無尽に 仕掛けられる「ユニバース」を開発する

理事長対談:多様なカレッジをつなぎ、 熱を持った個が縦横無尽に 仕掛けられる「ユニバース」を開発する

2024.12.02

多様なカレッジをつなぎ、熱を持った個が縦横無尽に仕掛けられる「ユニバース」を開発する

「地球のために」という極めて広い視野で物事を考え、行動できる地球貢献型リーダーの育成を目指して始まったリバネスユニバーシティー(以下、L-Univ.)。この壮大なチャレンジを進めるために研究者であり、かつ産業界でもトップを経験した元協和キリン代表取締役会長の花井が理事長としてスタートして3年が経過した。実際にプロジェクトを立ち上げるカレッジを立ち上げ、推進してきた松原が理事長のバトンを引き継ぐことで、次のチャレンジをつくる仕組みを強固に進めるときがきた。

既存に囚われず試行できる場所を構築した3年間

 

松原 一組織に閉じない学びの場が大事だという思いで、パートナー企業とともにカレッジ立ち上げを加速した結果、3年間で4カレッジ、6つのコースに広がりました。率直に振り返ってみていかがでしたか。

 

花井 これまで多くの企業を見てきましたが、ひとたびヒット商品が生まれると、それが成功の法則となってしまって、既存概念として確立してしまう。それが崩せないのが問題だと思っていました。だからこそ、実証した結果から、新しい仮説を立て、次の実験をして、また実証をしていくL-Univ.は壮大な社会実験をやっている感覚でした。企業で不足しがちなこの繰り返しをし続ける場ができたら社会が変わるだろうと。

 

松原 「仕掛け続けられる場」というのがポイントですね。成功例が既存概念化し始めたときに、それを打開できない理由はどこにあるのでしょうか。

 

花井 会社の中にいると、どうしてもヒット商品を事業として広げてていく方が評価されやすいですから、そちらが主流になってしまう。つまり「新しい仮説で実験を繰り返しできる人材」を育てにくい組織になっている。いわゆる改良研究ばかり進めていると、近い将来の売上を立てることはできますが、環境が変わった時には生存できなくなってしまう可能性がある。だから基盤研究をやめてはいけないんです。L-Univ.は今の大手企業にとっては、自社内ではできない、基盤研究のような新しい仮説を生み出し実証する場として機能しているのではと思います。

 

強力なネットワークができる仕組みづくり

 

松原 やってみて難しいと感じたのは、カレッジのコースの中では、自分のやりたいことを軸に、活動的にチャレンジできているのに、会社に戻ると、受け皿がなく、活動が止まってしまうことでした。そんな中、ある会社の方に、「副業の時間でリバネスで活動し、カレッジで立ち上げたプロジェクトを進められるような座組があれば良いのではないか」と言われたんです。カレッジ修了後すぐに自社に持ち帰ってもらうのではなく、リバネスのようなベンチャーへの出向受け入れの仕掛けもこれからつくっていきたいと考えていたところです。

 

花井 そのプログラムはとても重要だと思いますね。どの企業も既存概念の中で動いているため、戻ったあとも持続するのはなかなか難しい。だからこそ、既存ではない枠組みで動ける次のステップをつくる価値があります。

 

松原 出向制度はリバネスにとっても価値があることだと思っています。創業当時から続けていた研究者向けの週末型インターンをやめたことで、外からの流入が一時減りました。ところが、最近、リバネスのプログラムを受けた生徒たちが高校卒業後から大学入学までギャップイヤーの中で、リバネスでインターンしたいと来てくれるようになり、「アドバンス採用制度」を新たに作って受け入れを開始しました。これが週末インターンに代わる発展的な仕組みになると感じています。同様に、共通言語をL-Univ.で持った人たちと共に刺激的な仕事ができるのではないか、と期待が膨らみます。

 

花井 個人のつながりで社内外を巻き込んで仕掛けていく、そのためのウェットな関係性は大きな企業でも大事です。スタンフォード大学のMBAのアラムナイをみてみるとすごいですよ。常に仲良くしてるわけではないですが、何かあったときにすぐに繋がれる強みがあります。

 

松原 そうですね。そこで生まれたプロジェクトの継続はもちろんですが、同じコースを受講した人たちとの関係性が大事だと私も感じています。個人の情熱や行動によって形成された「個のネットワーク組織」を持つことで、新たな仕掛けが生まれていくからです。受講生個人の背中を押せるような仕組みとして有機的に人が繋がり続ける個のネットワーク組織をいかにつくっていくかがL-Univ.の次のキーワードだと考えています。

 

花井 いいですね。たとえば各社の経営層は皆、そんな活動をしている社員と話したいと思っているはずです。経営者も個のネットワークに巻き込むという視点も入れられると良いと思います。

 

松原 たしかに、報告会や最終回に招待して、経営者を巻き込んだり、経営者同士で横で繋がり、議論できるような仕掛けをつくるのも面白いですね。私が、次のチャレンジとして考えているのは、地域の企業向けのプログラムや大学と連携したプログラム開発です。地域企業にも参加してもらうためには東京・リアル開催のみではなく、地域の大学と連携すればどの地域でも受講できる可能性は広がりますし、地域の人にとっては生涯学習の場にもなる。多様な人が出入りするプラットフォームとして、門戸を広げられると思っています。

 

カレッジという点をつなぎ、面に。そしてユニバースへ。

 

花井 設立当初からビジョンに掲げていた「地球貢献型リーダー」は今や当たり前になってきたと感じます。時代が追いついてきた今、点となっているカレッジをつなぎ、いかに面にしていくかのフェーズがきたのではないでしょうか。

 

松原 そうですね、考えたアイデアを試せる場所が自社だけに限定されていては成功率は上がらないと思っています。私はL-Univ.で「自分の所属は一つではない」という世界観を創っていきたいと考えています。

 

花井 それこそまさに、ユニバーシティーの語源でもある「ユニバース(宇宙)」を体現していくイメージで考えてみるといいかもしれません。面白そうじゃないですか。

 

松原 各カレッジは重力環境や物質の組成が異なる星のようなもので、目的に合わせて適切な星に行き、その主催企業が持つアセットも借りながら課題解決のためのアイデアを実証実験して社会実装に必要な仲間やデータを集めていくことができる。

 

花井 最初に話していた既存概念に縛られずに新たなアイデアから事業開発を続けられる仕組みになりそうですね。そんな壮大な実証実験のユニバースがL-Univ.

 

松原 この世界が実現すれば、企業や組織の概念も変わっていくのではと思います。個の想いを応援し続けられる仕組みづくり、経営層の巻き込み、カレッジ同士の接続と目指す先が見えてきました。ここからバトンを引き継ぎ、進めていきます。

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