受講生の声:フィリピンで受けた衝撃、自社の製品で根深い教育課題を解決したい(フォーカスシステムズ・祷さん)
2024.06.01
フィリピンで受けた衝撃、自社の製品で根深い教育課題を解決したい
株式会社フォーカスシステムズ
IT イノベーション第二事業本部 ビジネスクリエーション部 セキュアサービス室
祷 瞭 氏
フォーカスシステムズに勤務する祷さんは、主に物販を担当している。その1つが、子供や高齢者の居場所を把握できるビーコンデバイス。祷さんはこの製品や技術を活用し、フィリピンの教育課題を解決するために奔走している。自分が解決すべき課題と、自社でできることが繋がった瞬間、祷さんの活動は大きな推進力を得て、新たな事業シーズを見出した。
自分の殻を破るために参加
祷さんは上司から「もっと自分を出して良い、殻を破ってこい」と言われて講座に参加した。その頃、物販営業と共に新規事業創出も兼任し、前例のない新たな案件の立上げを求められる中で、自分はどう動けばいいか分からない頃だった。講座のミッションは「自ら活動し続けられるテーマを決め、最初の仕掛けを実行する」。そんな実行力が自分には必要だと考え、まずはやってみようという気持ちで参加した。コースの中で祷さんは、他社の参加者とともに「誰も頑張らなくていい、健康的な食生活を実現する」というミッションで健康状態を画像で簡単に把握できるアプリを考案。これを通し、新たなコトを起こすためには、今の仕事内容にこだわらずに、課題解決にむけて自分がパッションを持ち続け、周りを巻き込んで進められるかが重要だと気づいた。
フィリピンの課題解決に本業が生きる
祷さんは、受講期間中に訪れたフィリピンで衝撃的な経験をする。それまで海外への渡航経験がなく、フィリピンに強い興味があったわけでもなかったが、講座のプロフェッサーから「現場で一次情報を得ることがとにかく重要だ」と言われ、殻を破る機会になるかもと思い参加し、結果として本当にその通りになった。フィリピンでは、開発が進み便利な都市中心部とは対象的に、一本路地を入ると眼の前には家のない子どもたちが路上で勉強をしている。これまでこのような実情を聞いてこなかったわけではないが、 自分の目で見て初めて衝撃を受けた。現地の学校の先生に話を聞くと、子どもたちは、今も毎日危険にさらされていると言う。登下校中に連れ去りにあったり、学校内から抜け出してしまう子がいるのだ。人口が爆発的に増えているフィリピンでは、教員1人あたりの児童数が多く教員が多忙を極め、児童の居場所を把握することすらできない現状があった。ここに、祷さんの日本での現業が生きる。同社の製品であるビーコンを児童にもたせ居場所を記録し、先生が学校で把握するというシステムを構築し、フィリピンの学校への提案を行った。たった数ヶ月で、現地の課題解決につながるプロダクトを生み出したのだ。
自分がやらなくて誰がやる
日本では当たり前にある IT 技術がフィリピンにはなく、フィリピンの深い課題解決に日本の技術が実は有効だったという事実。祷さんはこの経験から、自分こそが日本とフィリピンの架け橋になって教育ギャップを埋めていくんだという強いパッションを持ち、フィリピンの学校に訪問し、現場の先生たちとディスカッションを重ねた。また、現地の教育ベンチャー Wela Onlineとも議論をし、手持ちのスマートフォンで先生が簡単に子どもの安全を確認したいというアイデアが生まれた。また、日本の保育園、幼稚園にも子どもの安全による課題があることが分かり、スマートフォン用の園児の見守りソリューションを新たに作った。まずは日本の保育園に導入され、すでに広がり始めている。 祷さんの次なる目標は、一緒にフィリピンの課題解決に向かう仲間を社内で集 めることだ。みな本業がある中ではあるが、自分のパッションを伝えて、面白い、やってみたい!の声を拾う場を作り、仲間を巻き込もうと考えている。
(文・立花 智子)
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