受講者の声:異業種メンバーと全身全霊でプロジェクトを立ち上げた経験と成長(丸井グループ・山中未来さん)
2022.11.20
2021年、リバネスユニバーシティーと東日本旅客鉄道株式会社の連携で立ち上げた JRE Station カレッジに参加した株式会社丸井グループ・サステナビリティ部の山中未来さん(現在はグループ会社の株式会社okosに所属)は、多様な所属のメン バーとチームを作り、「野菜粉末アップサイクルプロジェクト」を開始しました。上司としてその成長を見守った村上奈歩さ ん(同じく現在は株式会社okosに所属)とともにお話を伺いました。
サステナブルビジネスを本気で学ぶために参加を決断
– まず、丸井グループとしてJRE Station カレッジへの参加を決めた経緯をお聞かせください。
村上奈歩さん 前提からお話をすると、丸井グループでは『お客さまのお役に立つために進化し続ける』という言葉と共に、『人の成長=企業の成長』を経営理念として掲げています。また、今後は知識創造型のビジネスにシフトしていくんだという方向性もあることから、昨今グループ全体で人材育成に非常に力を入れています。
そうした背景があったところに、JRE Station カレッジについてエコテックコースのゼミ長でもあるリバネスの丸幸弘さん(株式会社リバネス・グループCEO)から弊社の青木正久(株式会社丸井グループ・執行役員)にお声掛けをいただきました。そして、同カレッジのテーマが「サステナブルビジネス」ということもあり、当時私たちが所属していたサステナビリティ部に話が来た、というのが経緯です。
– 山中さんを人選した理由は何だったのでしょうか。
村上 サステナビリティ部のメンバーは結構さまざまな研修に参加しているのですが、山中は育休から復職した直後のタイミングだったこともあり、まだ参加経験がありませんでした。部としてはできるだけ多くのメンバーに参加してほしいですし、ガッツのある山中ならきっと大きく成長してくれるだろうという期待もありました。一方で、育休明けの短時間勤務ということで「難しいかな」という懸念があったのも事実です。ただ、それをこちらで決めつけるのも良くないな、ということで本人に話をしてみたところ「やってみたいです」と。
山中未来さん 私としては、復職したばかりということもあり、自分に自信をつけたいという気持ちが強くありました。また、会社としてサステナビリティに舵を切っていることを考えると、自分がサステナブルビジネスをしっかりと学ぶことには大きな意味があるはずです。そこで成長することができれば、きっと周囲にも良い影響を与えることができるはずだ、という期待もありました。
「一企業で解決できる社会課題はもうない」の衝撃
– 実際にエコテックコースを受講した率直な印象を聞かせてください。
山中 一言でいうと「共感しっぱなし」でした。さまざまな受け取り方をされた方がいたと思いますが、弊社にとってはサステナビリティがすでに当たり前になっていることもあって、すごく共感できましたし、素直に腑に落ちてくる、という感じでした。
そんな中でも、例えば「サステナブルビジネスとは地球のニーズを叶えるものである」という言葉は私にも驚きでした。小売業に携わってきた人間としては「顧客のニーズを叶える」「常に顧客視点で考える」というのが大前提だったので、「これからは地球のニーズから物事を考えてもいい時代なんだ」と。同時に、個人的にはずっとグリーンビジネスに関心があったこともあって、「地球視点で考えていい」というのは大きな励みにもなりました。
それから、「一つの企業だけで解決できるような社会課題はもう残っていない」という言葉も衝撃的でした。「そうか、だから異業種ともオープンに組みながらイノベーションを起こしていく必要があるんだ!」と目から鱗が落ちる思いでした。
– ゲストスピーカーの講演はいかがでしたか。
山中 これは本当に新鮮な体験でした。スタートアップの方々の情熱や思考は私たちとは全く異なるもので、どのゲストの話にも多くの新しい発見がありました。
実はJRE Station カレッジの期間中に、毎回の内容をレポートにまとめて部内に共有していたのですが、スタートアップの話については部内からも「自分に足りないものに気づくことができた」「取り入れたい要素が見つかった」という声がありましたね。
村上 少し補足をすると、研修などで外の知識を得たときには、みんなで共有しようというのが丸井グループのカルチャーになっているんですね。弊社では、外部のものも含めて研修は基本的に「自己啓発」の扱いで、通常業務には影響しないようにするのがルールなのですが、そうはいっても周囲のメンバーで必ず何かしらのサポートはしますし、そこはお互いに持ちつ持たれつでもあります。なので、誰かが何かを学んだら、部内でも共有して、一緒に成長できると良いよね、と。今回山中が共有してくれたのは、カルチャーが根付いていると感じられて、私としても嬉しかったですね。
自分が本当にやりたいことを全身全霊で見つけにいく
– JRE Station カレッジの特徴でもある、ゼミでのプロジェクト創出についても聞かせてください。
山中 カレッジのゼミは、異業種のチームメンバーと共同でリサーチやディスカッションを重ねてアイデアを形にした上で、毎回のゼミでプレゼンをして、ゼミ長やゲストスピーカーにフィードバックをもらう、という形で進みます。他のチームは、結構早い段階で「面白い!」「新しい!」という評価が出ていたところもあったのですが、私たちのチームはなかなか良い評価をもらうことができなくて……率直に言ってかなり大変でした(笑)。
– それでも最後までやり遂げることができた理由は何だったのでしょうか。
山中 一つは、フィードバックが本当に的確なものだった、ということですね。ゼミ長の丸さんも毎回のゲストスピーカーの方も、単なるダメ出しではなく、「どうすれば良くなるか」を真摯に考えてくださっているのがわかるので、こちらとしても「もう一度考え直してみよう」と前向きに捉えて、ブラッシュアップさせていく感覚でした。
もう一つは、これはJRE Station カレッジの考え方でもあったのですが、他のメンバーも含めて、全員が自分の「個のパッション」を元にしてプロジェクトに取り組むことができていたのが大きかったと思います。自分が本当にやりたいことを全身全霊で見つけにいく、というのがベースになっているので、途中で諦める選択肢がそもそもないというか。それを異業種のチームメンバーと共に模索するというのは、本当にここでしか経験できないことだったと思います。
村上 私の目から見ても、ものすごい熱量で取り組んでいるなと感じました。また、これは少し本題とずれるのですが、「短時間勤務でもああいう取り組みが可能なんだ」というお手本になったという効果もありました。同じ短時間勤務のメンバーにとって、本当に大きな刺激になっていましたね。
カレッジで生まれたプロジェクトを自ら社長にプレゼン
– 山中さんのチームは、カレッジで立ち上げたプロジェクトを実際に前に進めるために、まずはメンバーそれぞれの所属企業の事業に即した形にアジャストした取り組みを始めているそうですね。その中で、山中さんは自ら「社長プレゼン」を行ったと伺いました。
山中 元々、JRE Station カレッジに参加させてもらうからには、その成果として「会社に対して新規事業を必ず提案する」ということを自分の中のゴールにしていました。ただ、最初から弊社の社長に話をするつもりだったわけではありません。当初はサステナビリティ部の新規事業として提案することを想定していたのですが、村上を始めとして、いろいろな部署の上長に相談をした結果、「これは社長に直接話を持っていった方が良いんじゃない?」というアドバイスをいただいたんです。
村上 最初に相談された時に私がまず感じたのは、なんというか、「どうにかして何かしらの形にしてあげたいな」ということでした。受講中は本当に頑張っていましたし、「ここまで熱意を持って取り組めることは人生の中でもそうないだろうな」と感じたんですね。そして山中の上司として、あるいは会社全体で考えた場合でも、こういう新しい可能性の芽をつぶしてはいけない、と思いました。
ただ同時に、山中の提案をサステナビリティ部として上げるのも少し違うと思ったんです。組織的な提案には決められたステップや判断基準があるわけで、おそらくそのプロセスにはそぐわないだろうな、と。
話の通し方については本当に迷いましたが、私自身もいろいろな人に相談した上で決めたのが、「これは部ではなく、山中の個人提案です」「私は山中の個人応援団としてサポートします」という進め方だったんです。
– そして実際に社長プレゼンを行い、好評を得た、と。
山中 はい、ポジティブな意見をもらうことができて、本当に嬉しかったです。
村上 社長の青井もそうですし、今回の進め方を了承してくれた役員陣も含めて、やはり「新しいものを生み出したい」という気持ちが強い会社なんだな、ということを今回の件を通じて私も改めて感じることができました。
本気でなければ修了できない
– では最後に、改めてJRE Station カレッジの価値についてお聞かせください。まずは山中さんからお願いします。
山中 学びとしても経験としても本当に貴重な機会をいただいたのですが、自分にとって一番大きかったのは「自分の軸を見つけることができた」ということだと感じています。自分は何のために働いているのか、社会に対してどんな貢献をしたいのか、という根本的なことを考えるきっかけになりましたし、それを考えるにあたって他の受講生の多様な視点に触れられたことも大きな助けになりました。「個のパッション」を大事にしてもいいんだ、「個のパッション」があるからこそ世界を変えられるんだ、ということに気づけたことが本当に大きかったです。
– そんな山中さんをそばで見ていた村上さんはどうお感じになりましたか。
村上 「JRE Station カレッジは本気でなければ修了できない」ということを強く感じました。だからこそ、単なる学びや経験以上のものが得られるんだろうな、と。違う言い方をすると、本気でサステナブルビジネスを生み出すために外部の研修を活用するのであれば、送り出す人も場所も、しっかり選ばなければならないと思います。
実はちょうど今、来期のJRE Station カレッジに参加したい社員の募集をしているところなんです。弊社では、研修への参加は本人の「手挙げ制」で、必ず志望理由のエッセイを書いてもらうのですが、このカレッジについては社員の本気度を確かめるために「他社と協業してやりたいこと」「それをやりたいと思った原体験は何か」という2つのテーマで書いてもらうことにしました。山中の事例を踏まえると、やはり会社側としても「本気の人」を送り出したいですから。
– なるほど。次に丸井グループから参加される方が何を生み出すのか、こちらとしても本当に楽しみです。本日は貴重なお話をありがとうございました!