リバネスユニバーシティーコンテンツ地球貢献に資するリーダーが育つ場

リバネスユニバーシティーキックオフ講演会
[語り手]株式会社リバネス代表取締役グループCEO丸幸弘

2021年5月にリバネスユニバーシティーがプレ開講し、ブリッジコミュニケーション講座、ディープイシュー講座、ディープテック講座を開講した。リバネスユニバーシティーの「0期生」とともに行ったキックオフ講演会の内容を振り返る。

新しいことは、周りに止められる

 リバネスユニバーシティーの原点は、創業時の経験にあります。リバネスは、ビジネスのわからない学生が集まった学生ベンチャーでした。それがどうして仕事を作ることができたのか?それはたとえビジネスがわからなくとも新しいことに挑戦し、儲け話ではなく”課題”を見つけたからでした。発足当時、理科離れやポスドク問題、アントレプレナー不足は深刻でした。最初の一歩として始めたのが、子どもたちに研究の魅力を伝える出前実験教室の事業化です。すると、周りは私達を止めるのです。教員免許を持っていないこと、企業が教育現場に来ること、研究をせずに別の活動をしていること。色々なことを言われました。アントレプレナーシップの芽を摘むような先生がほとんどでした。これが私の原体験です。

 

できることをすぐやり、小さな成功体験を積む

 リバネスユニバーシティーのカリキュラムには、ちょっとした成功体験、とにかくすぐできることをやる、という概念を入れていきます。考え過ぎるよりも、すぐに現場に飛び込み、まず試せ、汗をかけということを大事にしています。リバネスの創業時も同様です。出前実験教室の実施にこぎつけ、科学の面白さを子どもたちに話してみると、子どもたちがどんどんサイエンスの勉強を始め、学校から進学者がたくさん出た。それを見て面白いねと言ってくれた大人たちがメディアにたくさん出してくれるようになりました。僕らが24歳の大学院生の時に、出前実験教室をやったことによって”世の中がちょっと動いた”という成功体験を得ることができました。

 

知識を世に届けるための製造プロセスを学ぶ

 一方で、勉強しただけでは「世に届ける」のは難しい。何十年も大学で研究が続けられていても、社会に出ているものは多くありません。そこで、我々は、知識を世の中に伝わる形にしないといけないと考えます。色んな専門性の人が混ざってチームをつくることを奨励します。そこで幅広い専門知識の組み合わせに挑戦してもらいます。そして、それを社会にどうやって実現するかを学んでもらいたいと思っています。組み合わせ方や実践方法は、正解がありません。正解がないので、先生という存在が成り立ちません。では、どこから学ぶのか。それは、実践から得られるフィードバックです。フィードバックから学び、不足していたことは勉強する、という仕組みをユニバーシティーでも実践していきます。

 

作りたいのは、議論し実践しながら学ぶ場

 このように、創業時から今に至るリバネスでの学び方を、カリキュラムにしていくのですが、改めて、どういう人物を輩出したいか、の考えを紹介します。リバネスの理念は「科学技術の発展と地球貢献を実現する」です。この20年、科学技術の発展は少しずつ実現してきましたが、後半の“地球貢献”はまだまだ道半ばです。新型コロナや海洋プラスチック問題のように、地球規模で取沙汰される問題に対して、解決策を作れるリーダーをもっと育てなければいけないと考えています。必要な力は2つ。1つは「本質的なイシューまで掘り下げる」ことです。もう1つは、「組み合わせを考える」ことです。問題の捉え方、向き合い方1つで、やるべきことは変わってきます。誰と組み、どんなテクノロジーを持ってこれるか、各講座のプロフェッサーやスピーカーも巻きこんで、徹底的に問題の捉え方と、解決策の組み合わせ方を議論していきたいと考えています。そして、何かアイデアが生まれたらチームになって1回ちょっとやってみよう、と飛び込み、試してみてください。汗を書いた分、フィードバックが得られるはずです。文系理系関係なく、人より多く稼ぐことに満足するでなく、人類だけでなく地球が持続可能な形で有り続けられるように考える、そういう人材が育つ場になることを期待しています。

 

 構成・篠澤裕介

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