受講生の声:リスクマネー供給で終わらない、自分ならではの”伴走”を目指して(株式会社日本政策投資銀行・笹川さん)
2026.03.10

リスクマネー供給で終わらない、自分ならではの”伴走”を目指して
株式会社日本政策投資銀行
笹川 裕矢さん
※参加コース:キャピタルブリッジコミュニケーションコース
金融機関で投資評価や審査に携わりながら、技術や事業の可能性と日々向き合ってきた日本政策投資銀行の笹川さん。「金融にとらわれず、自分にできる関わり方はないのか」、そんな問いを胸に参加したキャピタルブリッジコミュニケーションコース(以下、本コース)での経験は、笹川さんの中にあった “伴走” のイメージを大きく変え、これからのキャリア形成への自信につながった。金融という立場から、どのように人や事業に寄り添うことができるのか、その気づきと現在地に迫る。
リスクマネーの先にある課題意識
理系出身の笹川さんは、自然科学と直接対峙していた学生時代を金融キャリアの年数が上回り、「技術や事業にどのようにお金を入れて回収するか」というリスクマネーの仕組みに関する見識を深めてきた一方、その背景にある創業者の想いや技術の可能性にもっと寄り添った課題解決のあり方を模索していた。その問いに向き合うため、キャリア7年目の節目に与えられた1か月の挑戦期間で彼は出身の研究室に戻り、新たな技術を生みだす立場として初心に返る選択をした。改めて研究に没頭し、「日本の科学技術のためにこれから何ができるか」と考え始めた時に本コースを知った。金融的目線だけではない新たな視点を得られるのではないか。その学びを組織に持ち帰り、既存のリスクマネー供給機能と組み合わせてより一層踏み込んだ支援ができるのではないかと考え、参加を決意した。
問いと想いでつながるということ
本コースで強く印象に残ったのは、起業家や研究者との距離の近さだった。実際に技術の事業化を志す起業家と数日間にわたり議論を重ね、事業の構想だけでなく、悩みや迷いを共有する時間を過ごした。金融の話はいったん脇に置き、「なぜそれをやりたいのか」「何に困っているのか」と話しながら、起業家の想いや原体験に向き合った。近い距離で仮説を出しては問い直し、立ち止まりながら言語化する。その過程ごと共有できたことが、これまでにない経験だったという。
また、肩書きではなく問いや想いでつながるという本コースの考え方は、笹川さんが抱えていた課題意識を言語化するものだった。金融のプラクティスに適応することを優先するあまり、見えなくなっていた視点に気づかされ、ファイナンスを提供する側ではなく、一緒に考える側に立つことで初めて見える景色があると実感した。特に人手や時間が限られているベンチャーの現場では、外部の人間が同じ目線に立ちながら、客観的に考えること自体が価値になり得る。その認識の転換が、大きな学びになったという。
横に立ち続けるという意味
コースの最終日に、笹川さんは「金融の枠を超えて、愛する科学技術への共感を、世界に広げる」と宣言した。技術の完成度を測るよりも、研究者や起業家がどんな問いや想いを抱えながら技術に向き合っているのかを知ること。それが、笹川さんにとって科学技術に関わる人や事業と向き合うということだった。リスクマネーの供給はきっかけのひとつに過ぎず、事業が進むごとに問いを立て直し、迷いが生じれば立ち止まって言葉にする手助けをして、次の選択をできるようにする。それが、笹川さんの考える「横に立ち続ける」という関わり方だった。
本コース終了後、笹川さんは自分が得た視点を起点に、組織が持つ人材、大企業や政府とのネットワーク、ファイナンスや産業への知見を、技術や構想を持つ側とどう結びつけていくのかを考えていると話す。本コースは、彼にとって新たなスキルを得る場というよりも、自身の立ち位置を再定義する機会となった。金融という立場を”伴走”者へと昇華させ、技術や事業を未来社会に繋げていく 。その挑戦に向けた、確かな出発点となっている。
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