受講生の声:ベンチャーと地域のかけ橋となり、ベンチャーの成長と地域の未来をつくる(中国銀行・森川さん)
2024.10.29
ベンチャーと地域のかけ橋となり、
ベンチャーの成長と地域の未来をつくる
株式会社中国銀行
地方創生SDGs推進部 兼 ちゅうぎんフィナンシャルグループ
サステナビリティ推進部
森川 嵩士さん
※参加コース:キャピタルブリッジコミュニケーターコース
中国銀行の森川さんは、地域で創業したい人、イノベーションを起こしたい人を発掘し、スクール、コンテストを開催・運営をしている。岡山では、起業をする人が増えつつあり、盛り上げて応援することも大事だが、創業者にとって厳しいことも正直に言えるような関係性を築く必要性も感じていた。2024年に開講されたキャピタルブリッジコミュニケーターコースを通じて地銀自ら仕掛けられる新しい道を見つけた森川さんの、コースでの学びに迫る。
お互いの共感が大事だと実感
中国銀行の支店で8年間営業をした後、岡山県のインキュベーション施設に2年間出向しベンチャー支援に従事、その後転職し再び中国銀行に戻って来た森川さん。地域の大学等研究機関の研究成果を起点に地域に新産業の創出を目指す、岡山テックプランターをリバネスと共に主催してきた。「リバネスとベンチャーのように、同じ方向を見て一緒にゴールを目指すような付き合い方を自分もできるようになりたいと思っていたので、その為に必要なことを学べればとコースに参加しました。」コースの中で、非常に納得感があったのは「お互いに共感して歩み寄ることが大事だ」という話だ。信用ではなく、お互い信頼して仲間になるという考え方やQPMIサイクルは、岡山テックプランターでの経験や書籍等を通じて、ある程度理解したつもりだった。だが実践となると、「本当に売れる?」という懐疑的な視点が強くなってしまったり、支援者という一歩引いた視点で接してしまったりと、表面的な付き合いしか出来ていないのではないかと感じることも多々あったという。
パートナーになるには自分のパッションが必要
一歩踏み込んだコミュニケーションをするにはどうすればいいのか。森川さんは講義の中でABCDE理論(Asset、B=Business、C=Customer、D=Design、Entrepreneur)を学び「自分たちにとって真の顧客は誰なのか」を考えたことが、自分たちが何をすべきかを見直す際に役に立ったと話す。「以前は、ベンチャーは自分たちにとって将来の顧客候補だと捉えていました。でも今は、地方銀行にとっての真の顧客は地域住民や地域の企業であり、ベンチャー企業は地域に新たな価値を一緒に作り上げるパートナーになり得る存在だと考えています。」
そして、コースの中で、実際にベンチャーとの連携仮説を立て、それについて直接話をしてもらえる経験を通じて、ベンチャーと仲間(パートナー)になるには、自分のことも理解してもらう意味も込めて、自分の開示を出来る様に言語化することが大事だと気付いたと話す。
「自分が何をやりたくて、どんなパッションを持って取り組むか、実際にやってみると、深堀りできていなかったことに気づきましたし、難しかったですね」。
地域で新たなプロジェクトを起こせるかを試したい
地銀の立場で、創業者支援をすることは、業務の優先度として高くないのが現状だ。中国銀行は、ベンチャーとの関わりが多いゆえにベンチャーへの融資の危険性も理解している。そんな中で、地域の課題解決をするプロジェクトを地銀自ら仕掛けて、それにファイナンスできるというのは地銀が積極的に関わる仕掛けになるのでは!という仮説が生まれた。
このアイデアは、本コース内でベンチャー企業との実践の中で森川さん自身が提案した内容とも深く関わっている。
地域の漁業者・企業・水産研究所などとの接点をつくり、実装可能な事業スキームを創るというプランを森川さんは提案した。この案は地域の各ステークホルダーの利害関係の調整が非常に重要であり、ベンチャー1社では実現は難しいが、地銀にいる森川さんだからこそできる支援だ。
「ベンチャーにとっては、マーケットが広がり、POCを回す場が得られる。新しい技術に発展する可能性もある。プロジェクトの組み方によっては、プロジェクト参加者全員がメリットを見出せる。そこに対してプロジェクトファイナンス等のスキームが成り立てば、、銀行として、地方の活性化、地方創生に加わるという意味で、検討出来る手法の1つだと思う。」そう話す。森川さんは「ベンチャーと地域のかけ橋となり、ベンチャーの成長と地域の未来をつくる」コミュニケーターとして、今後さらに邁進していくだろう。
キャピタルブリッジコミュニケーションコース(旧ファイナンスブリッジコミュニケーターコース)の詳細はこちらをご覧下さい