受講生の声:ディープテックベンチャーとの対話に欠かせない研究者思考を手に入れた(西武しんきんキャピタル・伊藤さん)
2024.06.11
ディープテックベンチャーとの対話に欠かせない
研究者思考を手に入れた
西武しんきんキャピタル株式会社
投資営業部 シニアマネージャー
伊藤 啓洋さん
※参加コース:ファイナンスブリッジコミュニケーターコース
約20年の営業店経験のある伊藤さんは、現在信金VCにてベンチャー投融資を担当している。地域や社会にどう良い影響があるかという観点で投資営業に向き合っているが、会社として新しい取組みを求めているところでもあった。受講前の体験会で小口ではあるが多数で投資していこう、という話があり一緒に何かできると面白いと感じ受講を決めた。
関係性構築がはじめの一歩
ジャーミネーション期の支援では、ディープテックベンチャーの見極めが難しいという課題がある。決算書、ビジネスモデルなどを主な判断材料に、細かい数字を見ることに意識がいきがちであった。しかし、それだとディープテックベンチャーは研究開発に時間がかかり投資の決断が難しくなってしまう。それを変えられないかと思っていたが、専門領域は分かりづらく、事業成長に時間がかかるとなるとなかなか投資案件として進まない。それを解決できるのが、ベンチャーとの会話の仕方だった。「小さなことでも話せる関係性、金融機関は怖い存在ではなく応援団だと思ってもらえる関係性をまずはつくることが大事だと学びました。そのためには、はじめから投資判断のための質問を投げかけるのではなく、本音の話を引き出せるよう相手を知ることができる質問をするよう工夫し、お互いが歩み寄って橋をかければうまくいくと」。
投資検討には技術の未来をイメージする
ディープテックベンチャーの熱意や世界を変えようとしていることを理解するのに、とても印象深かった考えが2つある。ひとつめは「QPMI」という研究者の思考法だ。課題が起点となり解決のために情熱をもち、周りを巻き込んでイノベーションを起こしていくサイクル。普段ビジネスマンが使うPDCAサイクルではイノベーションは起こらない。ベンチャー経営者はこの思考で未来を創っていこうとしているのだと学んだ。ふたつめは「小さく細かく多くできるだけ早く試す」という研究者の動き方に納得した。大きな成果を目指してあれこれ考えて結局動かないよりも、ひらめいたことをまず実践してみたいと思った。はじめて触れる研究者の考え方が大きな気づきとなり、「これまで投資案件の検討に事業のスケールでの収益性を考えていましたが、受講後は技術や製品が社会に出た後の世界をイメージし、社会へのインパクトや意義を判断材料に加えるようになりました」と自身の成長や手ごたえを話す。
利益でなく地域の発展を優先できる強み
講義で新しい考え方を知り視野の広がりを実感する中で、グループワークで実践からも大きく学びを得ていった。異なる所属先の受講生とチームになり、実際にベンチャー経営者を交えたディスカッションや連携仮説を考える中で得たのは「自社のアセットを話す力と信金の良さの再認識」だった。信金は株式会社である銀行とは異なり、利益第一主義ではなく地域社会の利益、発展を優先する組織であるため、ベンチャー支援をやりやすい土壌があるのだと感じることができた。信金が支援するのは中小企業なので、社長と直接話をすることができる。経営トップの考えや思いを直接聞くことができ、また、提案に対しての意思決定もスピーディーに行えるため話がはやい。所属組織が実はベンチャー支援に適していると再認識することができ、自分がやるんだという強いパッションをもつことができた。
本講座は1回ごとに考えや学びを振り返る機会があり考えをまとめていけたので、最後のFBCとしての宣言を考えるのにそんなに悩まなかったと話す伊藤さんの宣言は「私はスタートアップのためにPassionを持ち、主体的に行動することを誓います」。
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